日蓮正宗入門

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序編 釈尊の仏教 第二章 釈尊の教え 13

二、法華経

法華経の付嘱 - 別付嘱と総付嘱 -

釈尊は、自身の滅後における妙法弘通のために法華経において二つの付嘱を明らかにされました。
付嘱とは相承・相伝と同義で、仏(師匠)が弟子に法を授けて、その法の伝持と弘宣を託すことです。

法華経の付嘱は、『神力品第二十一』の別付嘱と『嘱累品第二十二』の総付嘱ですが、その起こりは『宝塔品第十一』からはじまります。

釈尊が『宝塔品』で多宝塔涌現の後、
「誰か能く此の娑婆国土に於て、広く妙法華経を説かん」(開結347)

と仏滅後の此土弘経を勧められたことに対し、『勧持品第十三』では、二万の菩薩が此土に、五百羅漢・学無学の八千の声聞が他土に、八十万億那由佗の菩薩が十方世界にそれぞれ弘経を誓願しました。
しかし釈尊は、『涌出品第十五』で、
「止みね、善男子」(開結408)

と、これら迹化の菩薩等の申し出を止め、上行等の本化地涌の菩薩を涌出させました。
そして『如来寿量品第十六』で久遠の本地を明かされた後、『如来神力品第二十一』で、
「要を以て之を言わば、如来の一切の所有の法、如来の一切の自在の神力、如来の一切の秘要の蔵、如来の一切の甚深の事、皆此の経に於て宣示顕説す」(開結513)

と、法華経の肝要を「四句の要法」に括って、上行等の地涌の菩薩に付嘱されました。この付嘱を「結要付嘱」といい、本化地涌の菩薩だけに特別になされたものなので「別付嘱」といいます。

次いで釈尊は、『嘱累品第二十二』で、
「爾(そ)の時に釈迦牟尼仏、法座より起って、大神力を現じたもう。右の手(みて)を以て、無量の菩薩摩訶薩の頂を摩(な)でて(中略)今以て汝等に付嘱す」(開結518)

と、本化・迹化の無量の菩薩に総じて法華経を付嘱されました。これを「総付嘱」といいます。ただし釈尊は、迹化の諸菩薩には正・像二千年の法華経弘通を付嘱されたのみで、滅後末法の弘通は許されませんでした。

したがって、滅後末法においては、『神力品』で結要付嘱(別付嘱)を受けられた上行菩薩が出現して弘通されることとなります。

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