日蓮正宗入門

日蓮正宗信徒・個人の運営で、「日蓮正宗入門」を紹介しています。

序編 釈尊の仏教 第二章 釈尊の教え 11

二、法華経

法華経の特長

法華経の特長は、迹門において、爾前経では永久に成仏できないとされていた二乗の成仏が示されたこと、また本門において、インドに誕生した釈尊の本地が久遠にあったことを明かされたこと、さらに仏が衆生を化導する始終(順序)を説き明かされたことが挙げられます。

 

迹門の特長 ―二乗作仏(開山顕一)

法華経迹門の特長は、爾前経では成仏できないとされてきた声聞・縁覚の二乗に対し、成仏の記別が与えられたことにあります。 これを「二乗作仏」といいます。

仏は、はじめ小乗教において二乗の修行法を説かれましたが、次の権大乗教に入ると、自己の解脱のみに執着して利他の慈悲心に欠ける二乗を、永久に成仏できない「永不成仏(ようふじょうぶつ)」の衆生として弾劾・呵責されました。

しかし、法華経に至ると、迹門『方便品第二』において、
「唯仏と仏とのみ、乃(いま)し能く諸法の実相を究尽(くじん)したまえり。所謂諸法の如是相、如是性、如是体、如是力、如是作、如是因、如是縁、如是果、如是報、如是本末究竟等」(開結89)

と諸法である森羅万象はことごとく十如実相の当体であるという「諸法実相・一念三千」の法理が明かされたことによって、一切衆生の成仏の可能性が理論のうえに説き示されました。この理の一念三千の法理により、二乗といえども隔絶されるものではなく、他の衆生と同じく成仏することができることとなったのです。

このことは、法華経以前に三乗(声聞乗・縁覚乗・菩薩乗)を差別して説いてきた教えを方便として払い、法華経こそ一乗真実の教えであることを略して顕示したもので、「略開三顕一」といいます。

この略開三顕一の説法に疑いをもった弟子の舎利弗(しゃりほつ)が、大乗を代表して釈尊に真実の開顕を再三にわたって請願したことに対し、これに応えて説かれたのが「広開三顕一」です。

広開三顕一の説法では、まず仏の出世の目的は一大事因縁をもって、一切衆生に仏知見(仏の智慧)を開かしめ、示し、悟らしめ、入らしめて清浄なる境界(成仏)を得せしめることにあると宣説され、次いで、法華経以前に三乗格別の教えを説いたのは一仏乗に導くための方便であったことを述べられています。さらに、

「十方仏土の中には 唯一乗の法のみ有り 二無く亦三無し」(開結110)
と仏の真実の教えは二乗・三乗にはなく、ただ一乗の法のみにあることを明かされたのでした。
 
この広開三顕一の法門は、『方便品第二』の諸仏世尊の出世の一大事因縁を明かす長行の段から、『授学無学人記品人気品第九』までの八品にわたり、三周(法説宗・譬説周・因縁説周)の説法をもって、二乗が作仏することを明かされています。

まず、上根の舎利弗(法説宗)は、法華経の甚深の義を領解して未来に成仏する記別(証明)を受け、続いて中根の四大声聞(譬説周)は、三車火宅の譬喩(ひゆ)説を聞いて領解したことにより授記され、下根の二千五百余の声聞(因縁説周)は過去世からの因縁を聞いて領解することができ、ついに記別を受けることができました。

このように法華経迹門においては、爾前経で否定されたきた二乗の成仏がはじめて許されただけでなく、さらに『法師品第十』に凡夫の成仏、『提婆達多品第十二』に悪人・女人の成仏も説かれたのです。

ここに一念三千の法門が確立され、二乗作仏を中心とする一切の九界の衆生の成仏が可能となって、一念三千の法門が確立されたのが、法華経迹門の特徴といえます。

shoshu-nyumon.hateblo.jp