序編 釈尊の仏教 第二章 釈尊の教え 7
二、法華経
法華経の会座 - 二処三会 -
法華経の会座(説法の場所)について『序品第一』に、
「仏、王舎城耆闍崛山(ぎしゃくっせん)の中に住したまい」(開結55)
とあるように、法華経は中インドの摩竭陀国(まかだこく)の首都・王舎城の東北に位置している耆闍崛山(ぎしゃくっせん)で説かれました。耆闍崛山(ぎしゃくっせん)とは梵語の「Grdhrakuta-parvata」に音写文字を充てたもので、「霊鷲山(りょうじゅせん)」のことをいいます。
釈尊は法華経をこの「霊鷲山(りょうじゅせん)」で説きはじめ、次に会座を「虚空」へ移して肝要の法を説き明かし、再び「霊鷲山」に戻って滅後の流通のための教えを説かれました。
このように説法の場所が「霊鷲山」と「虚空」の二カ処で、その法会が「前霊鷲山」「虚空」「後霊鷲山」の順で三回にわたって行われたことを「二処三会(にしょさんね)」といいます。