日蓮正宗入門

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序編 釈尊の仏教 第二章 釈尊の教え 6

二、法華経

法華経の漢訳と題号

法華経の漢訳

法華経の原本は、インドの各地で発掘されていますが、これらはすべて古代インドの言語であるサンスクリット語梵語)で書かれており、それぞれの内容に大小の違いがありました。また、それぞれの梵本に従って、後代の僧侶らが自国の言葉に翻訳し、次の六種の漢訳本が生じました。

一、『法華三昧経』(六巻)正無畏(しょうむい)訳/魏の時代(二五六年)

二、『薩曇分陀利経』 (六巻)竺法護(じくほうご)訳/西晋時代(二六五年)

三、『正法華経 』(十巻)竺法護(じくほうご)訳/西晋時代(二八六年)

四、『方等法華経』(五巻)支道根(しどうこん)訳/東晋時代(三三五年)

五、『妙法蓮華経』(八巻)鳩摩羅什(くまらじゅう)訳/後秦時代(四〇六年)

六、『添品法華経』(七巻)闍那崛多(じゃなくった)笈多(ぎゅうた)訳/随の時代(六〇一年)

 このうち,『正法華経』『妙法蓮華経』『添品法華経』の三訳の経典が現存していることから、法華経の漢訳本のことを「六訳三存」といいます。なかでも鳩摩羅什(くまらじゅう)訳の『妙法蓮華経』は、内容・文体ともに優れ、釈尊の真意をもっとも正しく伝える経典として広く用いられています。

法華経の題号

妙法蓮華経』は五世紀のはじめ、中国・後秦(姚興(ようこう))の代に鳩摩羅什(羅什三蔵(らじゅうさんぞう))が梵語の経題「Saddharmapundarika-sutra(音写文字=薩達磨(さだるま)芬陀梨伽(ふんだりか)蘇多覧(そたらん))」を漢訳したものです。
それは、
「Sad=薩」を、「正しい」「不思議な」「優れた」等の意から”妙”
「dharma=達磨」を、「教え」「真理」の意から”法”
「pundarika=芬陀梨伽」を、「因果倶時・清浄な白蓮華」の意から”蓮華”
「sutra=蘇多覧」を、「仏の説いた教典」の意から”経”
としたもので、これらのことから法華経の題号である「妙法蓮華経」とは、「仏の悟られた真理」を意味するものであることがわかります。

さらに中国の天台大師は『法華玄義』において、妙法蓮華経の五字を名・体・宗・用・教の五重玄のうえから解釈し、妙法にそなわる深遠な意義を説示されています。

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